研究概要 |
当初の本研究の目的は、ボーアの定理を利用し,1)(d,d'γ)反応のスピン反転確率測定から荷電スカラースピン巨大共鳴の探索、2)(^3He,tγ)反応測定では,ガモフテラー遷移を調ヘ,強度損失(クエンチング)現象や有効相互作用についての知見を得ることである。 研究課題の申請は3年計画であったが、2年計画にそして予算も約半分に減額して認められた。そこで、計画を見直し、2)の課題を中心に据えて研究を実施することとした。 実験は、オランダ国グローニンゲン大学KVI研究所の超電導サイクロトロンからの178MeV^3Heビームを使い、2回(1998年12月、1999年11月)実施した。 以下のデータを得た。 1.DWBA理論解析を行う際に必要になる、光学ポテンシャルを求めるために^<26>Mg(^3He,^3He)^<26>Mg弾性散乱測定を、実験室系散 乱角度θ=9°-42°について行った。 2.^<26>Mg(^3He,tγ)^<26>Al[1^+;1.06MeV]反 応のガモフテラー遷移について微分散乱断面積の測定を、実験室系散乱角度θ=0° -30°で求めた。 3.散乱トリチウムとγ線の同時計数測定を同上のガモフテラー遷移について行い、ピン反 転確率を、実験室系散乱角度θ=0.3°-3.8°について求めた。 4.これらの実験データを用いて理論的解析を行った。その結果、従来使われていた^<3 >He-n有効相互作用はスピン反転確率を全く再現しないことが明らかになった。 この様に、研究は順調に進み当初予定した成果を挙げることができた。尚、中間エネルギー(^3He,t)反応でのスピン反転確率の導出は世界で最初である。
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