研究課題/領域番号 |
10044061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
米谷 民明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10091521)
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研究分担者 |
加藤 光裕 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (80185876)
風間 洋一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60144317)
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キーワード | 量子重力 / 超弦理論 / 場の理論 / 行列模型 / 統一理論 / 重力場 / 超対称性 / ブラックホール |
研究概要 |
1時空の不確定性原理 米谷は、10年以上から提唱している「時空の不確定性関係」の基礎をさらに固めるため、弦の高エネルギー錯乱および量子ブラックホールの力学におけるスケールの特徴づけを調べ、いずれにおいてもM理論のスケールが重要な役割を果たすことをつきとめた。2非可換幾何学との関係 一方、加藤は、弦理論の非摂動的な定式化を探るため、非可換時空の立場から研究を進めた。特に、D-braneと弦の相互作用を記述する境界状態を、D-brane側の非可換性をフルに取り入れて構成する事により、世界体積上の非可換性とそれが埋め込まれている外部時空の構造の間の双対的な関係を明らかにした。3D-braneの力学と超対称性 風間は前年度、米谷およびJevickiとともに行った拡張された共形不変性の研究に引き続き、Matrix理論におけるD粒子の有効作用の決定に対する対称性の役割についての研究を行った。拡張された共形対称性のみでは一般の軌跡に対する有効作用を決定することができないことを明確にした後、超対称性の解析に取り組み、有効理論における超対称変換が直接導ける形で超対称Ward恒等式を導いた。4拡張されたAdS/CFT対応 米谷は、拡張された共形不変性を根拠として、行列理論の相関関数と10次元超重力理論との間に拡張されたAdS/CFT対応関係が存在すべきことを提唱し、大N極限の行列理論の2点関数を計算した。その結果はいわゆるholographyの性質と行列模型の11次元ローレンツ不変性との両立可能性を考察するうえで重要と思われるある種のscreening機構が存在することを示唆している。5不安定D-ブレーン系における超対称性D-ブレーンと反D-ブレーンが共存する系や、Ramond-Ramond電荷を持たないような不安定な系では超対称性は少なくも明示的には存在しない。米谷は、このような系を含む一般の10次元開弦理論、すなわち、GSO射影を行わないような系において、N=2の超対称性が自発的に破れた相として存在していることを初めて具体的に示すことに成功した。
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