研究概要 |
本研究は,液体Heの表面に乗った2次元電子系や液面化に蓄えられたイオン,液体He表面に吸着した原子状水素,超流動He膜を伝播する第3音波など,単層表面でも十分な感度を有する現象を総合的に用いて超流動^3He薄膜の研究に道標を立てることを目指した.そのために,世界的にこれらの研究をリードするグループ間で共同研究を企画し,2年間に亙って有意義なアイデアの交換と相互作用を活性化させた. 本年度は,超流動^3He表面上の2次元電子に関する実験,超流動^4He薄膜の第3音波の実験,超流動^3He薄膜に流れを誘起して超流動性を調べる手段の開発,^4He薄膜を用いた1次元電子系の実現,He液面上に吸着した原子状水素と2次元電子の反応の実験,^3He液面下に蓄積したイオンの伝導度測定を行った. ^4He膜上2次元電子系のマイクロ波伝導度測定はコンスタンス大学に日本から河野,新井の2名が出かけて行って実験に加わった.この系では2次元電子の量子融解が起きている可能性があり,とても興味深い.今後,日本国内においても同様の測定が可能となるように装置を整備する.マイクロ波領域の実験には量子計算の可能性など今後の研究を必要とするテーマが数多い. 外国人研究分担者の来日による積極的な参加を得て,研究は順調に進展し,その成果を国際会議等で発表した.
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