研究概要 |
[1]マルチターン飛行時間型質量分析計(MULTUM Linear plus)の設計および製作: 4個の円筒電場(半径5cm)と8個のQ-レンズからなる,空間および時間的完全収束を満たすイオン光学系を見つけた.この光学系に基づいた装置を2003年にヨーロッパ宇宙機関が打ち上げを予定している彗星探査計画ROSETTAミッションに搭載する質量分析計のラボラトリーモデルとして,ドイツのマックスプランク研究所と協力して製作した. [2]MULTUM Linear plusの性能評価 同装置の基本性能の評価を行い,ROSETTAミッションで要求されている分解能(3000)とサイズを満足していることを示した. 窒素と一酸化炭素の混合ガスの測定で,100周回させることにより,分解能18000が得られることを示した.またイオントランスミッションについて,最初の5周で大きな広がりをもって入射されたイオンが削り落とされた後は,中性分子との衝突により失われる以外はほとんど失われずに周回することを示した.10周回後で10〜30%のイオンが周回している.
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