研究分担者 |
MITRA Sankar テキサス大学, 医学部, 教授
VAN Houten B テキサス大学, 医学部, 準教授
KOW Yoke W. エモリー大学, 医学部, 準教授
久保 喜平 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (40117619)
大山 義彦 広島大学, 理学部, 教授 (30169081)
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研究概要 |
生体の一次遺伝情報を担うDNAには様々な内因性・外因性の因子により構造障害が発生する.その結果,遺伝情報が変異し癌や遺伝病が発生する.しかしながら,高等動物においては,XTやミスマッチ修復等いくつかの例外を除いてDNA修復に関わる酵素群の全容は未解決のままである.本研究では,現在未知の部分が多い哺乳類の塩基除去修復酵素の機能解析を行った. まず,チミン損傷[チミングリコール(TG)・ウレア・ホルミルウラシル(FU)]およびシトシン損傷[ヒドロキシウラシル・ジヒドロウラシル]を含むDNAあるいはオリゴヌクレオチド基質を合成した.これらの基質を用いて,ヒトおよびマウスのエンドヌクレアーゼIIIホモログ(hNTH1,mNthl1)の酵素特性を検討した.hNTH1およびmNthl1遺伝子は大腸菌で発現し,ホスホセルロースおよびアフィニティーカラムで精製した.トリチウム標識したTGを含むDNAとmNthl1をインキユベートすると,TGがDNAからリリースされた.さらに,オリゴヌクレオチド基質をhNTH1およびmNthl1とインキュベート後,生成物をポリアクリルアミド電気泳動で分析した.損傷を含まない基質およびメチル基の酸化損傷FUを含む基質は酵素により切断されなかったが,他の損傷を含む基質は損傷部位で特異的に切断された.したがって,ヒトおよびマウスのエンドヌクレアーゼIIIホモログは,大腸菌のendo IIIと同様な基質特異性をもち,N-グリコシラーゼとして作用することが明らかとなった.さらに,Fpg,endo IV,endo IIIによる生成物のバンドの移動度との比較から,hNTG1・mNth1ともに鎖切断モードはβ-脱離であることが示された.
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