研究概要 |
実施計画1.超臨界流体中の電子移動度μの測定 エタン中の測定は終了。μは圧力増加と共に指数関数的に減少するが,,臨界点に近い33℃,80bar付近で極小を通る。μ値の大きさから過剰電子は準自由状態にあることは明らかであるから,この極小は圧縮率極大=密度揺らぎ極大による散乱の結果である。Xe中の測定に着手(平成12年2月),エチレン中の測定は準備中。 実施計画2.電子付着反応速度の測定 超臨界エタン中でCO_2,ピリミジン,ピラジン,スチレンについて測定。CO_2,ピリミジン,ピラジンの場合,レーザー電子線加速器からの10ピコ秒パルス照射により電子付着-,脱離反応速度を決定できたが,スチレンについては高濃度でも,このパルス幅では付着反応を観測できなかった。前3者の溶質について付着-脱離平衡定数を温度・圧力の関数として決定,△G_r,反応体積変化△V_rを求めた。いずれの値も圧縮可能連続体モデル(Compressible Continuum Model)により求めた理論値と良い一致を示す。特に圧縮率極大領域における△Vrの-9l/molにも及ぶ鋭い極小もこのモデルは定量的にもほぼ正確に再現するので,古典的連続体モデルの電縮効果を過大評価する欠陥は解決した。 実施計画3.イオン移動度の測定 超臨界エタン中の陽イオンの移動度及び超臨界CO_2中の陽・陰イオンの移動度を測定した。エタン中のイオンクラスターは上記の臨界点付近で急激に増大しStokesの関係式から推定した半径値は1.5nmにも達し,CC-Modelよる計算値も同様な値を示す。CO_2中では臨界圧以上でほぼ等量の2種類のイオンの存在が電流シグナルの減衰から示され,早いほうが陰イオンと思われる。このイオンのSokes半径は0.36nm遅いイオンの半径は0.61nmである。キセノン中の予備的測定によれば,陽イオンの移動度はエタン中よりも低めで,クラスター半径は1.2nm(293K)である。
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