高精度ガンマ線検出器(GAMS)を用いたエキゾティック中間子の探索

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10044100
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 応募区分: 一般
• 研究機関: 高エネルギー加速器研究機構
• 研究代表者: 都留 常暉 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (60044781)
• 研究分担者: 高松 邦夫 宮崎大学, 工学部, 教授 (40013370) ; 藤井 芳昭 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (70190006) ; 稲葉 進 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (10013434) ; 河合 秀幸 千葉大学, 理学部, 助教授 (60214590) ; 吉田 浩司 山形大学, 理学部, 講師 (80241727)
• キーワード: ガンマ線検出器 / 電磁シャワーカロリーメータ / 中間子分光学 / メゾンスペクトロスコピー / 非クォーク対 / エキゾティック粒子 / グルーボール / ハイブリッド

研究概要

1.データ解析
(1)欧州連合原子核研究所(CERN)の超陽子シンクロトロンで採取されたデータの解析
・WA102実験 pp->pfX0ps中心生成反応での中性中間子X0の研究
・NA12/2実験のデータ解析が行われた。これもpp中心衝突反応でpi0pi0、etaeta状態が解析された。これらは9編の論文にまとめられた。
(2)ロシア連邦高エネルギー物理学研究所(IHEP)の陽子シンクロトロンを用いた実験データ解析
pi-p->X0n荷電交換反応でのX0が調べられた。etapi0、pi0pi0などのチャンネルが解析され、
(3)高エネルギー加速器機構(KEK)の陽子シンクロトロンによるデータ解析
pi-p->X-n及びX-p反応でのX0及びX-が研究対象。pi0pi0チャンネルなどが解析された。
(4)これらの解析によって、pi0pi0チャンネルで、500-700MeV近傍に発見した新粒子シグマの存在が明らかとなった。これは我々GAMSグループと日大の石田晋氏らのグループとの共同作業で指摘してきたことが認められたものである。
2.検出器及びエレクトロニクスの開発・プロトタイプ制作及びビーム実験
(1)CERNや日本のJHFなど次世代の高強度ビーム実験などで不可欠な新電磁シャワーカロリメータの開発・プロトタイプ制作がなされた。鉛ガラスに替わるものとしてタングステン酸鉛(PWO)にほぼ決まり、その実用的応用のための実験がなされた。
(2)上記カロリメータのフロントエンド電子回路用の、高性能のフルカスタムICチップの開発がなされ、これを用いた高速のデータ処理回路の開発がなされた。
3.IHEPの研究者の来所により、データ解析及び検出器(特に電磁シャワーカロリメータ)の開発が行われた。CERNの研究者がKEKを訪れ、GAMS研究グループとしての次の計画をどう発展させるか検討がなされた。

研究成果

• [文献書誌] D. Barbies et al.: "A partial wave analysis of the centrally produced K+K- and K0K0 systems in pp interactions at 450 GeV/c and new information on the spin of the fJ (1710)"Physics Letters. B453. 305-315 (1999)
• [文献書誌] D. Barbies et al.: "A partial wave analysis of the centrally produced pi+pi- system in pp interactions at 450 GeV/c"Physics Letters. B453. 316-324 (1999)
• [文献書誌] D. Barbies et al.: "A partial wave analysis of the centrally produced pi0pi0 system in pp interactions at 450 GeV/c"Physics Letters. B453. 325-332 (1999)
• [文献書誌] D. Barbies et al.: "A coupled channel analysis of the centrally produced K+K- and pi+pi- final states in pp interactions at 450 GeV/c"Physics Letters. B462. 462-470 (1999)
• [文献書誌] D. Barbies et al.: "Experimental evidence for a vector like behaviour of Pomeron exchange"Physics Letters. B467. 165-170 (1999)
• [文献書誌] D. Barbies et al.: "A study of the eta etaprime and etaprime etaprime channels produced in central pp interactions at 450 GeV/c"Physics Letters. B472. 429-434 (2000)
• [文献書誌] D. Barbies et al.: "A study of the etapipi channel produced in central pp interactions at 450 GeV/c"Physics Letters. B471. 435-439 (2000)
• [文献書誌] D. Barbies et al.: "A spin analysis of the 4pi channels produced in central pp interactions at 450 GeV/c"Physics Letters. B471. 440-448 (2000)
• [文献書誌] D. Barbies et al.: "A study of the f0(1370), f0(1500), f0(2000) and f2(1950) observed in the centrally produced 4pi final ststes"Physics Letters. B474. 423-426 (2000)