マイクロマシーン技術を応用したX線・赤外線検出器の開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10044102
• 研究機関: 宇宙科学研究所
• 研究代表者: 井上 一 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 教授 (40092142)
• 研究分担者: 満田 和久 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 助教授 (80183961) ; 小山 勝二 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10092206) ; 小川原 嘉明 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 教授 (80013671) ; 田中 靖郎 マックスプランク研究所, 客員教授 (10022534) ; 高橋 忠幸 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 助教授 (50183851)
• キーワード: X線天文学 / 科学衛星 / 放射線計測 / X線分光 / X線光学

研究概要

ASTRO-Eは、わが国5番目のX線天文衛星となるべく平成12年2月10日に打ち上げられたが、残念ながら、打ち上げロケットの不具合で衛星になることはできなかった。非常に広いエネルギー範囲にわたって、これまでにない高エネルギー分解能で高感度観測ができ、世界の研究者に利用される国際軌道X線天文台となる予定であった。搭載された観測装置の一部は日米協力で開発され、本年度は、それら搭載装置の地上での性能較正、衛星に搭載しての打ち上げ前最終機能確認試験が行われた。本研究費からは、アメリカ側担当装置の最終試験への日本側メンバーの参加・立ち合いや、それらを衛星に搭載しての最終総合試験への米国側メンバーの参加・立ち合い、また、問題点の整理・検討のための日米での会合へのメンバーの出席に対し支援が行われた。装置の開発は日米の研究者が一体となって行われており、本研究費による支援は非常に有益であった。さらに、これらの開発は放射線計測学の新しい成果も伴うものであり、関連する国際研究会への発表に対する旅費補助も行われた。これら、搭載観測装置開発にかかわる活動と平行して、打ち上げ後、いかにASTRO-Eの性能を最大限に生かした観測を行って行くかを検討する活動も、日米欧の研究者による科学作業グループを組織して行われてきた。特に、今年度は、欧州宇宙機構との協力についての打ち合わせが行われ、それに対する支援が行われた。打ち上げは失敗に終わってしまったが、衛星開発、および、国際協力の面では、実りの多い研究をすることができた。

研究成果

• [文献書誌] K. Mitsuda: "ASTRO-E and its capability in the first two years"Astron. Nachr.. 320. 273-274 (2000)
• [文献書誌] T. Komura, K. Katayama, R. Asakura, S, Kitamoto, 他: "Properites of the Optical Blocking Filter of the XIS-Team, Advances in Space Research"Advances in Space Research. 25. 877-880 (2000)
• [文献書誌] K. Koyama, T. Kohmura, H. Katayama, M. Shoubho 他: "Reports of Soft X-ray Response of the Engineering Model of the CCD Camera (XIS) for the ASTRO-E mission"Advances in Space Research. 25. 881-884 (2000)
• [文献書誌] K. Mitsuda and R. Kelley: "The XRS system -- the first cryogenic X-ray detector in orbit"Nuclear Instruments and Methods A inPhysics Research. 436. 212-217 (1999)
• [文献書誌] M.D.Audley, K.AArnaud, K.C.Gendreau,K.Mitsuda 他: "ASTRO-E/XRS Blocking Filter Calibration"in Proceeding of SPIE on OpTical Science, Engineering and Instrumentation. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] 中澤知洋、他: "Fabrication of the ASTRO-E Hard X-ray Detector"Proc. SPIE. 3765. 148 (1999)