研究概要 |
一酸化窒素(NO)は、哺乳類から細菌に至る広範な生体内で産生され、多彩な生理作用を発揮し、生体機能を制御している。生体内NOの作用および機能を明らかにするためには、生体試料中のNOを検出し、分析することが必要である。本研究の代表者らはNOと結合して安定なラジカルを生成するNOトラップ試薬として新規なジチオカルバメート鉄錯体を開発した。生体試料にNOトラップ試薬を加え、電子スピン共鳴(ESR)装置で測定することにより生体内NOを分析することができる。 今年度は、ラットの脳室内にエンドトキシン(lipopolysaccharide, LPS)とインターフェロン-γ(IFN-γ)を併用投与することにより細菌性髄膜炎モデルを作成し、脳内に産生されたNOを上記NOトラップ試薬を用いてin vivoで測定した。また誘導型のNO合成酵素(iNOS)の発現をiNOSmRNAをRT-PCR法で評価することによりiNOSによって産生されたNOの髄膜炎に対する関与を明らかにした。更にLPSを大槽に投与することにより作成した髄膜炎モデルの脳内のNOは、フェニルブチルニトロン(酸素ラジカルのトラップ試薬)前投与により緩和されることが明らかとなった。
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