研究概要 |
本研究では,炭素の材料としての特徴,特異性を生かして,1)炭素材料自体の表面修飾,および2)炭素被覆による金属・セラミックス材料の表面修飾による材料の機能性を向上・強化することを目的とした. 1)炭素材料自体の表面修飾:球状フェノール樹脂を色々な条件で炭素化し,活性炭としての比表面積がどのように変化するかを明らかにするとともに,表面の気孔の大きさ・形状などを走査トンネル顕微鏡によって定量化する技術を開発した.この活性炭を,さらに酸素プラズマで表面処理することによって分子ふるい性が発現すること,また,硝酸水溶液や空気酸化することにより気孔構造が変化して水中のトリハロメタン等の有害物質を高い効率で吸着・除去できるようになること,を見出した. 2)炭素被覆による金属・セラミックス材料の表面修飾:アルミナ,シリカなどの酸化物セラミックスと液相炭素化する有機高分子化合物(ポリ塩化ビニル,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン等)の粉末混合物を不活性雰囲気中800〜1200℃で加熱することにより,炭素被覆セラミックスを作成する方法を確立した.また,鉄,銅,ニッケルなどの還元されやすい金属の酸化物を原料とすると,炭素被覆金属粒子が得られることも明らかにした.さらに,陽極酸化して多孔質皮膜を形成したアルミニウム上に同様の方法で炭素被覆できることを見出し,その適正条件を確立した.この方法によりアルミニウム材の表面硬度,耐食性,耐酸性等が著しく向上することが分かった.
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