研究概要 |
本研究では,月・惑星表面上に送り込まれる無人探査ローバーが,地球からのマクロコマンドに従いながら,ローカルな地形を認識し自律的に障害物を回避しつつ広範囲を踏破し,ミッションを達成するための走行力学と制御法を明らかにすることを目的とする.米国ではNASAの主導のもと,火星探査計画が進行している.一方,日本では,宇宙研およびNASDAの共同により月面探査計画が進められている.日米でそれぞれ進められている月・惑星探査計画において,互いに有益となるような研究交流を行うことも本研究の主要な目的のーつである. 平成10年8月2日から8月20日に吉田が渡米し,マサチューセッツ工科大学においてドゥボウスキー教授と本研究の遂行について詳細な打ち合わせを行った.同教授の研究グループでは火星探査を念頭において研究をすすめており,以下の研究課題について技術情報および意見の交換を行った.(1)カメラ画像によって得られた地形情報に基づいて最適な移動経路を選択する計画法.(2)選択された経路に沿ってローバーが走行するための力学を考慮した走行制御法.(3)6輪型ローバーモデルを用いて実際に検証するための実験方法. 平成10年9月2日から9月24日に,共同研究者であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校のシラー助教授を招へいした.シラー助教授はNASA/JPL(ジェット推進研究所)において火星探査ローバーの経路計画アルゴリズムの開発に従事しており,自然地形のモデリングの方法,および速度条件を考慮した経路プランニングの方法について討議を行った. 平成10年12月11日から12月24日に,共同研究者であるマサチューセッツ工科大学のドゥボウスキー教授を招へいした.東北大学で開発を進めている実験用テストローバーを用いた力学パラメータの計測方法,および,力学モデルに基づいたダイナミクスシミュレーションについて討議を行った.
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