研究課題
国際学術研究
今年度は、1)磁気リコネクション物理では電流シートの微細構造・3次元構造の解明、2)計測系整備では3次元トモグラフィー・イオン温度計測の共同開発、3)共同研究の成果を受けた東京大学でのリコネクション国際会議開催の決定など3方面での進展があった。まず、1)では、第1にX点領域の密度、温度の微細計測によりリコネクションに伴うファーストショックの検出に初めて成功した。アルベーン速度程度のアウトフローとその10%程度のインフローなどX点領域の流速の2次元分布が判明し、出口側でファーストショックの形成を確認した。第2に電流シートの異常抵抗の原因であることが判明したイオン運動効果をさらに特定する実験を進め、それがイオンスキン距離c/ωpiではなくイオンのラーマ半径に関連していることを突き止めた。これはフランクのTC-3D実験で検出した電流シートの異常電界の起源に関連している可能性がある。第3に外部駆動型の磁気リコネクションが局所3次元のつなぎ変わりにより高速化されている場合があることか日米露の実験で示され、現在引き続いて比較を行っている。また2)では可視光トモグラフィーを用いたイオン温度の3次元計測装置をほぼ完成させ、光ファイバーとCCDカメラにより電流シートのイオン温度がインフロー領域に比べて高いことが計測された。以上は桂井、小野とヤマダ、フランク、カールスラッドが相互訪問とAPS会議での会談を通じて電流シートの3次元微細構造の解明について問題設定を行い、日米露の3装置を用いて共同研究を進めた成果といえる。これまでの成果に基づき、来年度は我々がホストとなって実験室と宇宙のリコネクションをテーマとした東大シンポジウム(東京大学主催の国際会議で各年1,2つ選定)の開催が採択され、2000年2月を目指した準備に入っている。
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