研究課題
国際学術研究
本研究は、アメリカ、ドイツ、中国との共同研究であり、本年度はアメリカから、Wilcox,Regel教授、ドイツからBenz教授が来日し、共同研究の進め方、微小重力下での非接触成長の現状につき研究討論を行った。先ず、宇宙実験の予備実験としてGaSbのたて型ブリッジマン成長実験を行った。直径14mm、長さ70mmの単結晶を再現性良く成長することができた。成長した結晶を成長軸に垂直に切断し、化学エッチング後エッチピット分布を求めた。すると、最良のものは10^2/cm^2程度になっており、かなり良質の結晶が得られている。この実験でわかったことは、成長直前のアニール効果である。常識的には成長直前のアニールによって転位の数が変化するとは考えられないが、これを長時間行うと転位密度が激減することがわかった。原因はまだ明らかではないが、現象としては興味があり、今後の問題として継続して研究する予定である。次に、中国の回収型衛星を用いて宇宙で成長させたGaSbのX線トポグラフ写真をとり、非接触成長と転位導入の関係を調べた。トポグラフ写真によると種結晶から引きつぎ宇宙で成長した結晶部分に引きつがれた転位は一部は結晶の外に出るが一部はそのまま結晶内にとどまっている。しかし、宇宙で浮遊し、管壁に非接触であった部分では新たな転位の発生がないため、転位密度は非常に小さくなっており、部分的には無転位となっている。一方、成長の途中で融液は管壁に接触するようになるが、そのあたりから双晶の導入とともに多数の転位が導入されている。宇宙の非接触成長は高品質GaSb結晶を得るため非常に重要であることがX線トポグラフによっても示された。
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