研究概要 |
本研究では、超機能バイオセンサー開発のための基礎調査を行った。 平成10年度、超機能環境バイオセンサーの開発においては、フランス・ペルピニアン大学J.L.Mart教授のもとで、農薬センサーの開発に関する基礎実験およびディスカッションを行った。ペルピニアン大学で使用されている農薬センサーを参考にして高性能農薬センサーを現在開発中である。 超機能バイオセンサーの開発においては、リヨン大学にて、Plerre Couket教授をはじめ,L.Blurn教授D.Cordier助教授とディスカッションを行った。その後、臨床計測などに応用可能である蛍光検出関連のシステムや新規的な蛍光物質について具体的に説明を受けた。さらに、Douket研究室の博士研究の新規的な研究を紹介してもらい研究交流を行った。 超機能マイクロバイオセンサーの開発においては、ポールサバティエ大学Maurice Corntat教授のもとで,微小マイクロバイオセンサーの開発に関するディスカッションを行った。現在フランスで行われているマイクロマシン技術の水準を実際に調査し、同時に今後の応用分野可能性についてグランゼコールの研究者らにインタビューを行った。 発光探知型超機能バイオセンサーの開発においては、フィレンツェ大学Marco Mascini教授のもとで、高感度イムノセンサーの開発に関するディスカッションを行った。現在イタリアで行われている農薬の超高感度測定法について調査し、同時に農薬などの毒物の検出におけるバイオセンサーの今後の応用の可能性について、専門家と議論した。 超機能酵素センサーの開発においては、コンピエーヌ工科大学においてD.Thomas教授とまたローマ大学においてG.Pallesci教授とディスカッションを行った。触媒抗体やナノテクノロジー、超分子の設計と合成が超機能バイオセンサーに応用可能であるとの結論得た。 平成11年度は上記のバイオセンサーの開発を行うための調査を、具体的には以下の各種センサーの開発という形で行った。まず、超機能酵素センサーの開発においては、従来の酵素を用いるバイオセンサーの機能を超越するために、人工物を用いるにとが検討された。すなわち、天然に存在しない人工酵素をバイオセンサーの分子認識素子として用いることが議論され、そのための方法として.モレキュラーインブリンティング法による人工酵素の合成が有効ではないかとの知見が得られた。現在、同方法を用いるセンシング技術の開発を行っているとにろであり、実際のセンサー応答については来年以降調査することが重要であるとの結論に達した。次に、発光探知型超機能バイオセンサーの開発においては、ルミノール化学発光などの測定技術を用いて高感度な側定を行う際に、防害物質をいかにして取り除くかと言うことが議論され、調査された。その結果、あらかじめサンプル中の妨害物質(酸化還元物質など)を取り除いておくような機構が有効であるとの結果が得られた。にのことから、超高感度な測定を行う場合には吸着用カラム等の前処理機構を組み合わせることが重要であるとの結論に達し,来年度以降前処理装置との組み合わせを検討するべきであることが示唆された。超機能マイクロバイオセンサーの開発においては、日本側研究者らのグループで作製しているデバイスが相手側(フランス、イタリア)に比べてはるかに先を進んでおり、相手側諸国に技術的指導を行うことが検討された。超機能医療バイオセンサーの開発,超機能環境バイオセンサーの開発においては、表面プラズモン共鳴装置による高感度測定の可能性が示酸されたが、実際に汎用の装置を開発する上では同装置は高価すぎ、測定目的に特化したより低価格な装置系の開発が重要であるとの結論に達した。
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