今までの研究の結果、超高真空のAuger電子分光装置内に構築した力計測システムをより高剛性のシステムに改造している。また、試料の加熱についても新しい加熱システムを設計し導入する事で解決できている。力分解能とシステムの剛性の関係についてさらに検討を加えた結果、高剛性(低力分解能)領域ではsemiconductor transducer方式が力の分解能をより高くできるが、低剛性(高力分解能)領域では、Double Cross Cantilever方式が優れていることも判明した。本年度は、そのシステムを用い、いくつかの試料について計測を行った。計測結果は大まかな点で、高橋らの理論により予測される値に近いことを示唆した。同時に、試料作製時に残った表面凹凸を除去することが意外に難しいことが判明。シリコン単結晶をもちい表面の平坦化について検討した。また、高剛性化によって振動の影響を受けてしまうという問題点も明らかになった。問題点を解決するため、いくつかの対応策を提案したが、研究代表者が所属する組織の中では、その影響を除くことは出来なかった。(このプロジェクトは、EPFLのN.A.Burnham氏とランカスター大のH.M.Pollock氏の協力の下研究を進めた。)
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