研究概要 |
本研究は,これまで各々の地震国で独自に考えられていたサイスミック・マイクロゾネーションとその背景に存在する地震・地盤環境についての国際比較を試みることによって,それぞれの地域にとってより効果的な地震防災計画を共同で立案することを目的としている.以上の目的を達成するため,それぞれの地域において個別のフィールドワークを実行し,それらの結果に基づく議論はメール交換によって実施している。本年度の主要な研究内容は以下の通りである. 1)メキシコ(グアダラハラ市)・キューバ(ハバナ市)に3名の調査団(瀬尾と2名の研究協力者)を派遣し,当地の研究分担者と共に合同微動観測を実施した.観測データは当地の研究分担者が中心となって解析中である.この現地調査の機会に当地の防災行政担当者を交えた情報交流を行い,サイスミック・マイクロゾネーションの重要性について認識を深めてもらった. 2)台湾集集地震(1999.9.21)に関する地盤環境調査のために1名(瀬尾)を現地に派遣し,併せて強震記録・出版物等の情報収集を行った.本研究の視点から見ると台北市の危険度が最も高いことから,当地の研究者に対して共同研究の提案を行っているところである. 3)エチオピアとモロッコから研究分担者を招聘し,昨年度に実施した現地調査の結果について検討を行うとともに,我国の微動研究者と合同の研究連絡会を持ち研究交流を実施した. 4)トルコで発生した2つの被害地震(1999.8.17,11.12)に関する地盤環境調査のために3名(瀬尾と2名の研究協力者)を現地に派遣し,微動測定を中心とする現地調査と併せて強震記録・出版物等の情報収集を行った.今回の現地調査は,本研究と関連の深い当地の大学研究者と共同で実施されたものであり,今後とも共同研究を継続実施するために双方で努力することを確認した.
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