本共同研究では、最近世界的に見られる移動通信を代表とする無線通信の急激な需要増に伴う電波(周波数)資源の不足問題に対して、極めて有力な解決法として期待されているスペクトル拡散通信方式によるCDMA(符号分割多元接続)と空間領域の信号処理が可能なアダプティブアレーアンテナの両分野に関して、日本と欧州および世界における同分野の飛躍的な発展を推進するために、国際的に先端研究で競争しているBaier教授と代表者のグループが共同研究することにより、日本と欧州および世界における同分野の飛躍的な発展を推進することを目的とした研究を行った。 具体的には、CDMA技術に関しては、(1)マルチメディアの通信品質評価の最適化基準の導出と無線通信チャネルのモデル化、(2)トラヒック変動の測定法とメディアに応じた処理利得や送信電力の制御法の考案、(3)狭帯域干渉やフェージングを除去・抑圧するための適応ディジタルフィルタとアダプティブアレーアンテナによる時間・空間領域の信号処理方式の考案。 アレーアンテナ技術に関しては、(1)通信路の空間伝搬特性も考慮した空間時間領域のモデル化、(2)アダプティブアレーアンテナを含む通信路に関する通信路容量の解析、(3)空間時間領域のマッチドフィルタや最適受信機の導出、(4)空間時間領域の通信路符号化の考案、(5)空間時間領域の適応アルゴリズムの考案、(6)移動通信におけるフェージングの抑圧のためのアダプティブアレーアンテナの考案、(7)CDMAにおける他局間干渉の除去のためのアダプティブアレーアンテナの考案などを行った。
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