研究課題/領域番号 |
10044144
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
長村 利彦 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90117200)
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研究分担者 |
KISCH Horst エルランゲンーニュールンベルグ大学, 教授
MULVANEY Pau メルボルン大学, 化学科, 講師
GRIESER Fran メルボルン大学, 化学科, 助教授
川井 秀記 日本学術振興会, 特別研究員
坂口 浩司 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (30211931)
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キーワード | ナノメーター / フェムト秒レーザー / 半導体超微粒子 / 過渡ブリーチング / エキシトン / トラップサイト |
研究概要 |
ナノメーターの空間分解能で光情報処理できるナノフォトニクス分子システムの構成とその超高速光応答を目的とし、日豪独の研究者が分担・協力して3年間の研究を開始した。本年度の主な成果の概要を述べる。 1) 直径数ナノメーターの硫化カドミウム(CdS)超微粒子では、光応答性へ表面の寄与が大きい。通常の方法で作成したCdS超微粒子では光照射により生じたエキシトンの直接再結合による発光(バンド端発光)はほとんど見られず、表面欠陥などに基づく非常に弱い発光がそれよりかなり長波長側にみられるのみである。これは高速応答性を制限すると考えられる。過剰のカドミウムイオンによる表面処理で欠陥発光を減らし蛍光活性化するSpanhelらの方法に改良を加え、直径が約5nm以下で強いバンド端発光を示すCdS超微粒子の作成を試みた。カドミウム初濃度、反応温度、過剰のカドミウム濃度、pHなどのパラメーターを系統的に変化させた。その結果、477nmに強いバンド端発光を示す直径4.3nmの蛍光活性化CdS超微粒子が作成できた。これは従来のものより40nm以上ブルーシフトし、量子サイズ効果の現われる大きさである。ただし欠陥発光もまだ少し残っており、他の点も含めて改良の余地がある。 2) このCdS超微粒子を400nmのフェムト秒レーザーで励起し、過渡ブリーチング測定を行った。エキシトン生成による1ピコ秒以下の極めて速い過渡ブリーチングが観測された。その回復挙動は、より大きい(6nm)蛍光活性化CdS超微粒子の場合とほぼ同様であったが、サイズや表面状態の影響などさらに詳しい検討を要する。
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