研究概要 |
酸性雨などをもたらす大気汚染物質の移流・拡散や原子力事故に伴う放射性物質の広域拡散の研究は地球環境問題の重要かつ緊急な課題である。大気中に存在する天然放射性物質のラドンは半減期が3.8日で化学的に不活性である。ラドンの発生源は陸地表面にあるので,同じく地表面に発生源を持つ大気汚染物質の良いトレーサーとなりうる。 名古屋,金沢,島根県隠岐の各測定地点のラドン濃度測定器のクロスチェックを年度始めに行った。さらに,各測定地点での前年度からのラドン濃度測定を引き続き行った。平成10年9月に日本の共同研究者が韓国・ソウルを訪問して,ラドン濃度測定技術を提供した。測定装置はソウルの漢陽大学内に設置した。設置場所付近で,気象要素・ラドン濃度を含めた各種環境要素の調査を行い,ラドン濃度測定に適した場所かどうか確認した。ソウルを含め,各測定地点での得られるラドン濃度・気象データ等を電子メールで互いに交換した。1月に名古屋で研究者全員が集まり,それまに得られたラドン濃度データについての検討会を開催した。気塊の流れとラドン濃度変化に相関が認められた。更に,韓国東海岸での測定データの必要性を感じ,3月に別のラドン濃度測定装置を韓国東海岸に設置した。毎月ラドン濃度データは得られているので,分担者毎に各測定地点でのラドン濃度データの時間変動解析および気象要素,大気汚染物質との解析を続けている。
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