研究概要 |
シリコンの結晶異方性エッチング現象の解明を目的とし,名古屋大学と,オランダのトエンテ大学,ナイメーゲン大学,フランスのLAAS/CNRSとの間で,以下の共同研究を実施した。 (1)平成11年6月,オランダのElwenspoek教授を名古屋大学に招聘し,結晶表面ステップモデルの検証をおこなった。 (2)平成11年10月にフランスのDr.Camonを名古屋大学に招聘し,格子エネルギ理論を使ったモンテカルロ解析によるエッチングモデルについて討議した。さらに同博士が結晶異方性エッチングを応用して製作した振動子デバイスの挙動について討議した。 (3)平成12年1月にオランダのElwenspoek教授とフランスのDr.Camonが国際会議出席のため同時に来日した機会を利用して,シリコンの結晶異方性エッチングに関する第2回目の国際ワークショップの企画を行った。この結果,2000年5月にフランス,ツールーズにて開催することを決定して,計画を実行に移した。なお,第3回目のワークショップは2002年に日本で開催することとし,佐藤一雄がその責任者となることを内諾した。さらに,Elwenspoek教授,Dr.Camon,佐藤がこれまでの研究成果を討論し総括した。 (4)オランダ側研究者との共同研究成果を連名の論文として学術雑誌Sensors and Actuatorsに投稿し,査読を経て掲載が決定した。 今年度の成果として,(1)エッチング速度の結晶方位依存性はエッチング中のシリコン表面の粗面化と深く関連していること,ならびに,(2)TMAH水溶液でエッチングした(110)面の粗さの様態はフラクタル表面を呈するが,観察領域の一辺の寸法が約1μmを境としてミクロ領域とマクロ域とで様相が異なること,が判った。
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