研究概要 |
共同研究課題「先端金属基複合材料の製造と力学的性質の評価」については、作製したセラミックス粒子強化アルミニウム基複合材料の熱疲労特性および疲労クリープ特性を調査した。その結果、小ひずみ域における本供試材のIn-phase熱疲労寿命は、Out-phaseに比べ長いが、大ひずみ域では、Out-phase熱疲労寿命が長くなることが明らかとなった。 課題「生体用チタン合金の力学的特性」については、d電子合金設計法により設計したTi-Nb-Ta-Zr系合金は、強度、伸びおよび弾性率の良好なバランスを有することが明らかとなった。さらに、細胞毒性をL929細胞を用いて評価したところ、純チタンと同程度の細胞毒性を示し、同合金の生体親和性が優れることが予測された。さらに、高周波誘導溶解法やレビテーション溶解法を適用することにより、健全な実用レベルインゴットの作製が可能となった。 課題「粉体による機能材料創製と評価」については、非平衡材料の作製とその特性について研究が行われた。特に,プラズマジェット法による非平衡合金超微粒子の磁気特性,Fe-炭素(グラファイト,フラーレン,スス,カーボンブラック)系のメカニカルアロイングに関する研究が重点的に行われた。ボールミルによるフラーレン(C60,C70)の構造変化を調査した結果、フラーレンの分子構造は安定に存在するが、fcc結晶構造は簡単にdisorder化することが明らかになった。また一部がポリマーになることが分かった。Al・ZnとのMA粉末にはフラーレン分子が残存するがCu・Ni・Fe・Ni粉末の場合は分子構造は破壊される。 課題「表面改質および傾斜機能材料」については、作製した熱電皮膜の熱電特性評価および熱電特性に及ぼす添加ドープ元素の種類、量の影響調査(日本側)、溶射による金属からセラミックスへの組成傾斜複合皮膜体の作製(中国側)が行われた。その結果、添加ドープ量を傾斜化した多層型熱電素子の動作温度範囲および傾斜機能皮膜体の繰返し熱衝撃特性が明らかとなった。
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