研究概要 |
年度初めに検討会を米国で開催し,問題点の掘り起こしと解決法について議論した. システム同定アルゴリズムの開発を行うとともに,開発された同定アルゴリズムをパッケージソフトとして運用できるシステムを開発した.さらに,観測系のシステム開発を開始した.得られた成果は以下に記載する通りである. 1.時空管的な広がりを有する場のシステム同定アルゴリズムを開発した.これは条件付きシステム同定になっているので,同定されたシステム方程式で推定した観測点での応答は観測値に完全に一致する.こうしたシステム同定のアルゴリズムはこれまでに開発されたことがない. 2.非線形システムからの出力の時系列はカオス的な挙動を示すので,カオス理論を用いた多次元時系列の同定アルゴリズムを開発した. 3.等価介在物法に基づいてシステムの部分同定を行えるアルゴリズムを開発した. 4.光ファイバーを利用した地盤内ひずみ観測システムを構築した.光ファイバーを用いた振動応答の計測システムは実用化の段階に到達しつつあるが,地盤のひずみのモニターシステムに組み込んだ例はない. こうした研究を効率良く推進するためには,光ファイバー・非接触型歪計・マイクロ波変位計などの先端技術を利用したセンサーシステムの開発,システムのワイヤレス化,システム同定手法の高度化など広い研究分野の総合化を図らなければならない.このためには,研究組織の在り方を継続的に追求し組織の再編成を随時行っていく必要があるので,今年度は米国を訪問し研究組織の在り方について議論した.
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