研究概要 |
人口増,環境変化,社会の成長,気候変動などに伴う水問題は人類の持続的な発展のために極めて重要な課題であるという認識のうえで,我が国およびアジア・オセアニア地域における多数の水文学研究者をAP-FRIENDの名の下に結集し,当該地域内の種々の水問題の解決に向けて国際共同研究を組織的かつ強力に推進してきた. まず,東アジア・オセアニア地域における各国河川流域の水文観測データを系統的に収集しデータベース化するために,日本人および外国人の研究分担者を中国・南京に派遣(平成10月18日〜21日)し,データベース管理システムの仕様、データの書式仕様(フォーマット)を検討した.同時に国際河川を含む河川環境について,洪水・渇水並びに総合的流域管理についての研究打ち合わせを行った. また,韓国嶺南大学Soon Tak Lee教授を招聘し,AP-FRIENDにおける,日韓比較水文学研究としての共同研究打ち合わせを行った.これは,人間活動及び環境・気候変動が水資源に与える影響評価のため,水・人間・地球の相互作用を考慮した影響評価モデルを構成するための基本となる水文モデルHydro-BEAMモデルを用いた水量・水質シミュレーションによるアプローチである. 一方で,データベース利用による水文学研究として,各国において河川の洪水・渇水の流況・時系列特性を統計的・水文学的に調査検討した.具体的には,豪州・西オーストラリア大学との共同研究による流出のスケールアップによる比較水文学研究,ベトナムにおける植生量の変化に伴う流量等の変化に対する研究,タイにおける植生活性調査,および豪州・気象局との共同研究としての人間活動及び環境・気候変動が水資源に与える影響評価の研究である.
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