研究分担者 |
福島 武彦 広島大学, 工学部, 教授 (90124354)
PETERSON L.W Resreach Center Foulum, 研究員
MOLDRUP P. Univ. of Aalborg, 工学部, 助教授
ROLSTON D.E. Univ. of California,Davis,農業, 環境科学部, 教授
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研究概要 |
2種類の農薬(シマジンとアシュラム)の土壌への吸着・脱離について調べ,土壌粒径別フラクション(9種類)においてコロイド粒径のフラクションの農薬吸着量が最も多く,また脱離量が最も少ないこと,農薬の吸着量は初期吸着量に依存することから,以前に農薬によって汚染された経歴のある土壌においては,地下水を汚染する可能性が高いことなどがわかった.さらに,バッチ,フローの両実験から得られた遅延係数は大きな相違はなく,農薬の挙動解析にはいずれのパラメータを用いてもよいことが明らかとなった. また,薬のダイアジノンのYolo loamへの気体吸着と脱離について,乾燥土への吸着はBET吸着等温線に従うこと,脱離は土壌の水分量に強く影響を受けることが明らかとなった。脱離係数は水分が11%から3%に減少すると2桁増加し,11%以上では水分の増加とともにわずかに増加する. 土壌内に,土壌ガス抽出法に相当する速い流れのある場合の揮発性有機化合物(トリクロロエタン、トルエン)の移動を,土壌マイクロカラム法で測定し,遅延係数は土壌水分の増加とともに指数関数的に減少して最小値をとり,その後は直線的に漸増してほぼ一定の値となること,この最小値は土壌の有機炭素量と高い相関を示すことなどが明らかとなった.また,低水分量範囲の遅延係数と,水分量との関係を簡単なモデルで記述することができた. 土壌内における汚染物質の運命予測のための新しいモデルを提案した.このモデルは土壌の間隔分布と土壌構造を考慮したもので,実際の土壌環境をより良く記述でき,土壌内の汚染物質の挙動予測や,汚染土壌の修復対策の最適化にも有効である.
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