1.半導体レーザ励起マイクロチップNd:YVO_4レーザにおける動的不安定性 従来、分極に対する断熱消去が可能なClass-Bレーザ系では、自由度の不足によりカオスに至る動的不安定性は発現しないと信じられてきた。今回、Nd:YVO_4レーザにおいて特異な結晶場によりもたらされる不均一広がりとそれに起因する発振モード間非線形利得結合を起源とするパルセーョン、ロッキング、準周期振動、カオス的緩和振動などを実験的に見出し、理論的に良好に再現した。 2.半導体レーザ励起マイクロチップ誘導ラマンレーザ レーザ媒質それ自体でのラマン散乱に起因するフォノン側帯波でのレーザ発振をNd系マイクロチップ固体レーザ(Nd:YAG、Nd:YVO_4、LNP)を用いて初めて観測した。発振波長は1.5μm付近であり、フォノンエネルギは約3000cm^<-1>と同定された。このストークス波長での誘導ラマン発振は、LDを遥かに凌ぐ単色性を有し、コヒーレント光伝送の復活を期待させる。 3.レーザ・アレーでのカオス同期 カオス同期現象は、カオス秘匿通信を行う場合の鍵である。今回、相互に結合したマイクロチップLNPレーザ・アレーにおいて自己光混合変調によってカオスを誘起し、結合度に対する状態変化を実験的に追及した。その結果、非同期から同期状態へ遷移する過程で、2つのレーザの振動強度の位相に強い相関が表れる"位相スクイーズド状態"が出現すること、同期状態では運動のエントロピーが増大することなど新知見が得られ、モデル方程式の解析により現象を検証した。 4.外部戻り光誘起カオス的バースト 光ファイバーと結合したマイクロチップ固体レーザにおけるランダムなカオス的バースト発生を実験的に見出し、カオス解析とシミュレーションより、レーザのFM雑音が起源であることを検証した。
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