研究課題
本年度の研究は、同一テーマで96-97年度に共同研究を行ってきたので、単年度ではあるが実質的には、3年間に渡る国際共同研究の最終年度であった。我々の目標は、日米の両グループが夫々役割を分担しかつ協力して、次世代型の自立型知的サービスロボットの概念と実現技術を研究し、この分野にブレークスルーをもたらす提案を行い、かつデモシステムを通して研究成果を社会に示すことであった。日本側は、8自由度の多関節アームと、178個の触覚センサを付加した17自由度の5指ハンドからなる人型ロボットアームHARISアームを開発し、ワールドモデルと呼ばれる知識ベースを中核として、モデルベース3Dビジョン、知的スケジューラ、知的アームコントローラ、自然言語ヒューマンインタフェース等を開発し、この研究のために開発したプラントフォームであるフレーム型汎用知識工学環境ZERO++によって統合化した。米国側では、空気制御によるゴム製のデュアルソフトアームと4自由度を持つ二眼カメラをもつ知的サービスロボットISACを開発し、ファジー制御、ビジュアルサーボ技術、顔面トラッキング技術、2アーム協調制御システム等のソフトウエア技術を開発し、この研究のために開発した分散エージェント指向プラットフォームIMAによって統合化した。夫々のロボットシステムが実験システムとして成功したが、日本側が認知科学的アプローチであるのに対して米国側はセンサーベース的アプローチを採用するというように、対照的なコンセプトであった。共同研究の最終作業として、相互のプラントフォームを交換・結合し、両者の長所を生かす実験を一部開始した。今後も形を変えて共同研究の継続を検討している。成果の大部分は既に国際会議やジャーナルで公表している。以上、目的は十分に達成することが出来、かつこれからの国際共同研究のあり方に関して貴重な経験となった。
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