研究課題
基盤研究(B)
・ラチャブラナ寺院に設置した無電源(電池稼働)自動環境計測システムにより環境条件(大気温度、大気湿度、雨量、日照強度、レンガ表面温度、レンガ内部温度)の継続計測を行った。1年中最高気温が30℃を越えること、雨は雨期の末期に多く、しかも短時間に集中して降ることが明らかに確認された。但し、月毎の平均気温、雨量は年によってかなり異なることも明らかとなった。・マハタート寺院近くの一角に設置したレンガ造柱によって、雨量および地中水分量の変化とレンガの含有水分量の変化について測定を行った結果、表面漆喰モルタルの存在がレンガの吸脱水の抑制にきわめて効果的であることが明らかとなった。・マハタート寺院の一角の特にレンガの劣化の激しい部分において、詳細な観察と含有水分の変化についての測定を継続的に行った。この部分における水分の動きについて、コンピュータによるモデル解析の結果、部分的に水分量が高まることが確認された。これを防止するために上層部分を撥水処理すること検討され、その効果を確認するための実験用レンガ構築物に水分センサーを取り付けての測定を行った。その結果、上層部の撥水処理によって、含有水分量が大幅に低下することが確認された。・マエナンプルエム寺院の修復パイロット事業を開始し、現在、屋根部分の修復を終えたところであり、引き続いて壁体の補強と修復を行うことになっている。・アユタヤ遺跡において今までに行われた保存修復対策についての資料収集と追跡調査を行った。1960年代に多く用いられたセメントが、すでに劣化し始めている点が大きな問題となっていることが明らかとなった。・関連調査として、スコータイ遺跡の劣化と保存修復についての調査ならびに関連の文献資料等の収集を行った。アユタヤとスコータイの遺跡は一見類似しているが、詳細に見ると異なる点がかなりあり、あらためての調査、研究が必要と考察される。
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