研究分担者 |
シュミット マイケル ヴュルツブルグ大学, 人類遺伝学研究所, 教授
マグレガー ハーバート レスター大学, 動物学科, 教授
ガギンスカヤ エレーナ セントペテルスブルグ州立大学, 生物学研究所, 教授
バーク テリー シェフィールド大学, 動・植物科学科, 教授
|
研究概要 |
水野はニワトリのZ染色体上の遺伝子IREBP、ZOV3,Z染色体特異的なMHM領域、Z染色体長腕端部のマクロサテライト配列、W染色体上の偽遺伝子配列EE0.6、W染色体特有のXhoiI,ECoRIファミリー反復配列をクローニングし、マグレガーと共同で染色体上の局在部位を、雌の減数分裂前期のランプブラッシ染色体に対する蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)で決定し、共著論文として発表した[S.Mizuno and H.Macgregor,Cytogenet.Cell Genet.80:149-157(1998),I.Solovei et al.,Chromosome Res.6:323-327(1998)]。水野はIREBP,ZOV3,EE0.6の平胸類の相同配列をダチョウ、エミュからクローニングし、これらが深胸類と70-90%の高い配列相同性をもつことを示した。これらの平胸類の配列をプローブとしてダチョウ、エミュの有糸分裂中期染色体にFISHを行い、これらが1対の相同染色体上に局在していること、ダチョウの雌では一方の染色体上でIREBP遺伝子が欠失していることを明らかにした。これらの結果は、深胸類、平胸類の性染色体が共通の1対の相同染色体から進化してきたこと、ダチョウではW染色体の形態分化が初期段階ではあるが認められることを示すものである(Ogawa et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:4415-4418(1998)]。今後、鳥類と爬虫類の性染色体の起源を調べるため、1998年9-10月に水野(研究協力者、伊藤、寺西とともに)、ガギンスカヤがドイツ、ヴュルツブルグ大学のシュミットの研究室に集まり爬虫類でZW性染色体構成をもつヘビ類のゲノムDNAの調製と染色体標本の作製を行った。一方、ニワトリZ染色体上のMHM領域は雌でのみメチル化修飾のレベルが低く、転写されるが、雄の2本のZ染色体上では共に高メチル化で、転写は不活性である。ZZZ,ZZWの性染色体構成をもつ3倍体ニワトリのMHM領域の転写活性を調べるため水野の研究協力者、寺西は1999年3月にオーストラリアのクィーンズランド大学のピム教授の研究室へ行き、3倍体ニワトリからの組織切片調製、DNA,RNA抽出を行った。
|