研究課題/領域番号 |
10044195
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
熊谷 忠 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教授 (90089805)
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研究分担者 |
高柳 進之輔 東邦大学, 医学部, 教授 (00105438)
日出間 純 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助手 (20250855)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 紫外線UVB / DNA損傷 / シクロブタン型ピリミジンダイマー / 光回復酵素 / 光修復 / イネ / 紫外線抵抗性 / 紫外線感受性 |
研究概要 |
紫外線抵抗性品種ササニシキと紫外線感受性品種農林1号を実験材料に用いて次のことを明らかにした。 1 イネの生育に伴うDNA損傷の動態:(1)CPD生成の感受性は、葉位、葉令の変化に伴い大きく変化し、幼植物時の第2から4葉の葉が展開している時期が最も感受性が高いことがわかった。またササニシキは葉位、葉令が変化しても常に農林1号よりも高い光修復能力を有していることがわかった。(2)暗黒化で生育したイネにはCPDの光回復能が見られず、光修復能の誘導はファイトクローム、青色光効果による光反応によって調節されることを見い出した。(3)太陽光下で生育しているイネにはいつも一定量のCPDが蓄積されていることを見い出した。 2 UVB感受性品種農林1号における、光修復能力の低下の要因:両品種の光修復酵素を含む粗液と、一定量のCPDを有するλDNA(基質)を用いて、それぞれの品種の光修復酵素活性の特性について検討を行った。その結果、(1)基質であるCPDと結合し、基質-酵素複合体の形成に要する時間は、農林1号の方が遅い、(2)基質-酵素複合体の温度に対する安定性について比較したところ、農林1号は45℃以上で活性が低下するのに対し、ササニシキは45℃では安定で、60℃で活性の低下が認められた。以上の結果から、農林1号の光修復酵素は構造上に変異があることにより、その能力が低下している可能性を見い出した。 3 UVBによるDNA損傷が葉内タンパク質含量に及ぼす影響:葉緑体内に局在するRubiscoとLHCIIをターゲットとして、15Nトレーサー解析及び各タンパク質をコードする遺伝子のノーザン解析を行った。その結果、Rubiscoタンパク質はLHCIIと比較して、葉の展開過程で著しく合成が阻害された。また、核、および葉緑体にコードされる遺伝子の発現(mRNAの蓄積)は明らかに異なり、核支配の遺伝子の方がUVBによってその発現が抑制され、さらに核支配遺伝子の中でもRubiscoラージサブユニットをコードするrbcL此遺伝子はLHCIIをコードするcab遺伝子よりもその発現が抑制されることを見出した。
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