研究課題/領域番号 |
10044200
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
渡辺 元 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90158626)
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研究分担者 |
新井 浩司 東京農工大学, 農学部, 助手 (70293016)
田谷 一善 東京農工大学, 農学部, 教授 (60092491)
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キーワード | モルモット / 多嚢胞性卵巣症候群 / インヒビン / エストラジオール / 胚の発育 |
研究概要 |
多嚢胞性卵巣症候群の内分泌学的解析するためのモデルとして、遺伝的には排卵数が4個以下であるハートレー種のモルモットを用いた。モルモットは、多数の卵胞を発育・排卵させることがきわめて難しいことから、過剰名卵胞発育を誘起しその内分泌学的メカニズムを解析することにより、多嚢胞性卵巣症候群の解析の新たな展開が期待される。 (1)自然発症卵巣嚢腫の解析:モルモットの卵巣を、発情周期の各時期に採取し、組織学的に検索したところ、3種の卵巣嚢腫が見られた。漿液嚢腫はもっとも出現頻度が64%と高かった。卵胞嚢腫は次に多く22%に見られ、卵巣傍体嚢腫がまれに見られた。いずれの嚢腫もが内分泌学的には不活性であった。 (2)インヒビンの免疫学的中和による過剰卵胞発育:プロジェステロン投与により発情周期を同期化した卵胞期のモルモットに、インヒビンα鎖の抗血清を投与したところ、卵胞数と末梢血液中エストラジオール濃度が増加したが、インヒビンα鎖を産生する卵胞数および排卵数の増加には至らなかった。次に、インヒビンα鎖を能動免疫したところ、発育卵胞数および黄体数平均10個と有意な増加が見られた。また、インヒビンα鎖を産生する卵胞数もそれに伴って増加した。同様の免疫を施したモルモットを雄と交配し、受精卵を回収してin vitroでの胚の発育を検査した。その結果、インヒビン免疫群から採取した胚は、対照群から採取した胚と比較して発育に差が見られなかった。 インヒビンαの発現が嚢腫になるか否かを制御している可能性が示唆された。
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