研究概要 |
DNA二重鎖切断の相同組換えによる修復の普遍的機構を解明するため、原核生物(大腸菌および好熱細菌)、真核生物(酵母)および古細菌(超好熱古細菌)を対象として研究した。 Holliday構造の移動(branch migration)を行うモータータンパク質RuvBの反応機構を解明するために、これ迄単離したruvBミュータントを解析し、RuvBはAAA^+ATPaseとしての特徴をもつことを明らかにした。更に好熱細菌のRuvBを結晶化してその三次元構造を世界に先駆けて解明することに成功した。RuvAB-Holliday構造複合体の結晶構造の解明を目指して、好熱菌のruvA遺伝子もクローニングし、RuvAタンパク質の生化学的性質の解析を行った。 RuvCミュータントタンパク質を解析して、DNA結合に必須の塩基性アミノ酸の同定と、DNA二重鎖結合を不安定化させる機能をもつフェニルアラニンを同定し、反応機構の解析を進めた。 超好熱古細菌の組換えに関与するRadA,RadBタンパク質を解析し、これらが組換え中間体の形成に関与するRecA/Rad51の機能的・構造的ホモログであることを明らかにした。 分裂酵母で新規に我々が発見した遺伝子の機能を解析し、slr1は生育に必要でslr4やSMCタンパク質と相互作用して、複製や組換えにおける染色分体の安定性の維持に必要であることを明らかにした。 細菌から真核生物迄高度に保存されているDrp1タンパク質はRuvBと相同性をもち、単鎖DNA依存性のATPase活性をもち、染色体の安定性の維持に重要であることを明らかにした。
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