研究分担者 |
PANAYOTOV Iv ブルガリア, コムギ・ヒマワリ研究所, 副所長
宅見 重雄 神戸大学, 農学部, 助手 (50249166)
森 直樹 神戸大学, 農学部, 助教授 (60230075)
ATANASSOV At ブルガリア, 遺伝子工学研究所, 所長
|
研究概要 |
温帯植物の低温ストレス反応については、植物体が一定期間非凍結低温に晒されることで凍結耐性を獲得する能力を持つこと、この適応プロセスには低温で発現誘導される遺伝子・タンパク質群が重要な機能を果たすことが知られている。本研究の目的は、環境ストレスに対する幅広い適応能力を持つパンコムギを材料に、低温で誘導されるクローンを単離し、それらの構造・発現解析を行い、得られた知識をコムギ育種に活用することである。本年度は以下の結果を得た。神戸大学側:1)オオムギの低温・光誘導性クローンBcor14とABA誘導性クローンHvalをプローブとして、低温耐性の冬コムギ品種“Mironovsak808"から低温順化後に作成したcDNAライブラリーからWcor14,Wcor35,Wrabを単離し、構造決定をした。Wcor14とWcor35はコムギゲノムに数コピー存在する低温誘導性遺伝子であること、WrabはLEAグループIIIに属する多重遺伝子でコムギの各ゲノム当たり4-5コピー存在し、低温とともにABA誘導性であることを明らかにした。Wcor35については、in vitroの転写・翻訳系を用いてmRNAからWCOR35タンパク質を合成した。イネで単離されたシアン耐性鎖酸化酵素(AOX)遺伝子をプローブに、コムギのWaoxを単離した。低温耐性、秋・春蒔性および関連形質のQTL解析を目的に′Mironovska808′xCSの交配からF,種子を得た。ブルガリア側:種々の4倍性、6倍性コムギを材料に、低温耐性試験と低温処理時の各種酵素活性の測定を行った。調査研究実績:夏期に日本側から3名がブルガリアを訪ね、研究の進展状況、今後の研究方向を討議し、コムギの形質転換法について技術指導を行った。秋期には、ブルガリア側から1名が来日し、ブルガリア側研究の進展状況の説明と次年度に向けた研究計画を討議した。
|