研究概要 |
Plasminogen activator(PA)と、PAの阻害タンパク質であるtype-1 PA inhibitor(PAl-1)は、PA-plasmin cascadeのtiggerとPA活性の生理的調節物質として重要な因子である。本研究では、PA-plasmin cascadeの調節機構について主に遺伝子レベルでの調節機構について追究し、以下の知見を得た。 1)培養肝細胞を用いて線溶活性の調節とPA,PAI-1遺伝子発現の関連について検討した。IL-1やTNFαによる線溶活性の低下がPAI-1mRNA発現の誘導に加え、tissue-typePA(tPA)の産生量の低下によること、low density lipoprotein related/α_2-macroglobulin receptor(LRP)が肝細胞においてtPAの取りこみに係わる主要な受容体であること、LRP遺伝子発現がIL-1により増大することを明らかにした。 2)IL-1β遺伝子欠損マウスを用いて急性期におけるPAI-1誘導のメディエーターとしてIL-1が重要であること、肝実質細胞が主たるPAI-1の発現細胞種であることを明らかにした。 3)脂肪細胞の分化にともなってPAI-1,uPA発現量が増大すること相反的にtPAが減少することを明らかにし線溶系因子が細胞の分化機能と密接に関連することを明らかにした。 4)TGFβによるPAI-1転写誘導機構について検討し、amad3とグルココルチコイド受容体のクロストークによる調節機構を明らかにした。 5)サイクリックヌクレチオドによるPAI-1mRNAのdown-regulationは、3'-非翻訳領域の134ntが重要であること、この領域に結合する38-76kDaのタンパク質がmRNAの不安定性に関与することを明らかにした。これらのタンパク質の1つをクローニングし解析したところ新規たんぱく質であることが明らかとなりPAI-RBP1と命名した。PAI-RBP1はFGG box,2つのarginine-rich regionを有することを明らかにした。
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