研究課題/領域番号 |
10044218
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
桜井 英博 早稲田大学, 教育学部, 教授 (10063645)
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研究分担者 |
井上 和仁 神奈川大学, 理学部, 助教授 (20221088)
楠元 範明 早稲田大学, 教育学部, 講師 (60277861)
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キーワード | 光合成 / 反応中心 / ヘリオバクテリア / 緑色硫黄細菌 / 鉄-硫黄クラスター / 閃光分光 / シトクロム / フェレドキシン |
研究概要 |
緑色硫黄細菌Chlorobium tepidumから反応中心粒子(PS-C)とそれにつながる電子伝達体であるフェレドキシン(Fd)およびFd-NADPレダクターゼ(FNR)を精製し、その反応性について調べた。PS-Cは電子供与体側に2分子のcyt cを結合しているため解析が複雑であるが、先に決定したcyt cとの反応速度定数を考慮して反応を解析した。光化学系I(PSI)は2分子のビタミンK_1を結合し、その1つが電子受容体側で電子伝達体として機能しているが、精製PS-C粒子はHPLCによる分析からメナキノンを約1分子結合していることが分かった。キノンの電子伝達としての機能を閃光分光法により研究した。閃光により酸化された初発電子供与体P840は、閃光照射3発目まではm秒領域の見かけの半減期をもって再還元されたが、4発目では半減期約20nsで再還元された。この半減期は、既に報告されている還元型A_0とP840^+の間の電荷再結合速度に一致している。PS-Cでは電子受容体側に3個のFe-Sクラスターが機能しているから、キノンが分離された電荷の保持に貢献しているという証拠は得られなかった。また、閃光照射後の吸収変化を360〜480nmにわたって測定したが、キノンに対応する吸収変化は観察されなかった。以上の結果から、キノンがPS-Cで電子伝達体としての働いているという証拠は得られないと結論した。この細菌から3個の4Fe-4S型Fdを精製し、そのN末端アミノ酸配列、PS-Cとの親和性および反応速度を決定した。また、Heliobacillus mobilisから2種の4Fe-4S型Fdを精製したが、両者ともPS-Cに対して高い反応性を示した。
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