研究概要 |
本研究では難聴に関連するミトコンドリア遺伝子変異(1555A-G,3243A-G,7445A-G)の検出を容易に行えるようにするための簡便なスクリーニング法としてMASA(Mutant Allele Specific Amplification)法を応用した簡便なスクリーニング法を開発し、外来を受診する難聴患者症例に占めるミトコンドリア遺伝子変異の頻度を検討したところ、感音難聴の約3%に、またアミノ配糖体抗生物質による難聴患者の約30%に1555変異が見出されることが明らかとなった。また他の難聴の原因遺伝子の関連についても検討したところコネキシン26遺伝子変異を伴っている家系がいくつか見出され症例によっては複数の遺伝子の関与している可能性が示唆された。またミトコンドリアに局在する蛋白を免疫組織化学的に解析するため凍結置換法を用いた免疫電顕を確立するためグルタミン酸合成酵素の内耳における局在を検討した。その結果、内耳の有毛細胞に限局して見出されミトコンドリアに対する免疫組織化学的方法の確立することが出来た。また全国の140名の人工内耳施行患者に関してミトコンドリア遺伝子変異を調べたところ10%の患者に1555変異が確認され、治療法としての人工内耳の有用性が確認された。
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