血管系の細胞における酸化ストレス応答-ストレスタンパク質の機能とCO/NOシグナル伝達系の関与-

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10044234
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 坂内 四郎 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (70019579)
• 研究分担者: 佐藤 英世 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60235380) ; 石井 哲郎 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (20111370)
• キーワード: 酸化ストレス / ストレスタンパク質 / マクロファージ / 血管平滑筋細胞 / アミノ酸トシンスポーター / ヘムオキシゲナーゼ / グルタチオン

研究概要

1)前年マクロファージにおいて酸化ストレスで誘導されるストレスタンパク質としてクローニングに成功したシスチントランスポーターについて、さらに研究を進めた。このトランスポーターの主成分であるxCTタンパク質の遺伝子は、マクロファージを細菌リポ多糖で刺激することにより強く転写促進がおこり、さらに、この転写促進は酸素濃度に依存することが示された。シスチントランスポーターの活性が高まると、細胞内グルタチオン量が増え、酸化ストレス耐性が高まるので、この応答は酸化ストレスに対する適応現象と考えられる。
2)マウスでの情報を基にヒトのxCT遺伝子を明らかにした。この遺伝子は新規のものであり、マウスと同じく12個のエキソンからなることがわかった。
3)in situハイブリダイゼーション法によりxCTの発現部位を脳を中心に調べた。その結果、脳と血管の間で物質交換が活発と思われる部位での発現が認められた。
4)血管平滑筋細胞における酸化LDLによるヘムオキシゲナーゼやxCTなどのストレスタンパク質の誘導は転写因子Nrf2を介していることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] T.Ishii: "Transcription factor Nrf2 coordinately regulates a group of oxidative stress-inducible genes in macrophages."J.Biol.Chem.. 275. 16023-16029 (2000)
• [文献書誌] Mizusawa,H.: "Peroxiredoxin I (macrophage 23 kDa stress protein) is highly expressed in the rat nervous system."Neurosci.Lett.. 283. 57-60 (2000)
• [文献書誌] Ishii,T.: "Induction of murine intestinal and hepatic peroxiredoxin MSP23 by dietary butylated hydroxyanisole."Carcinogenesis. 21. 1013-1016 (2000)
• [文献書誌] Hong,Y.: "Effect of hypoxia on nitric oxide production and its synthase gene expression in rat smooth muscle cells."Biochem.Biophy.Res.Commun.. 268. 329-332 (2000)
• [文献書誌] Sato,H.: "Molecular cloning and expression of human xCT, the light chain of amino acid transport system xc-."Antiox.Redox Signal.. 2. 665-671 (2000)
• [文献書誌] Sato,H.: "Effect of oxygen on induction of the cystine transporter by bacterial lipopolysaccharide in mouse peritoneal macrophages. "J.Biol.Chem.. 276(in press). M007216200 (2001)