研究課題/領域番号 |
10044242
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加我 君孝 東京大学, 医学部・付属病院, 教授 (80082238)
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研究分担者 |
伊藤 健 東京大学, 医学部・付属病院, 助手 (50251286)
室伏 利久 東京大学, 医学部・付属病院, 講師 (30242176)
菅澤 正 東京大学, 医学部・付属病院, 助教授 (00179110)
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キーワード | 人工内耳 / 先天聾 / 言語発達 / ABI |
研究概要 |
小児の人工内耳については、成人と違い多くの問題がある。主なる問題は(1)言語の違い、(2)手術年齢の時期、(3)術後のリハビリテーション、(4)知的レベルの影響、(5)人工内耳のテクノロジーの違いである。人工内耳は欧米の技術であり、わが国では、あらゆる情報が術手にまわっており、その結果、手術の適応についても極めて慎重な態度をとってきた。このような状況では、国際学術交流を行い、互いに相手国を訪れ直接自分の目で見ることが大切である。 以上のような背景に基づいて、1998年度は、日本側が、オーストリアの現状を知るべく、ウィーン大学病院の耳鼻科の人工内耳手術と、人工内耳手術を受けた左先天聾の小児のリハビリテーションを見学した。さらに、インスブルックエ科大学を見学し、人工内耳と人工脳幹(ABI)の基礎技術開発の状況を見学した。この視察には、東大耳鼻科より4名、東大工学部より3名が参加した。1999年度は、オーストリア側より、2名を招き、日本耳科学会で小児の人工内耳手術とその後の言語発達とABIについて講演をしてもらった。以上の2回の国際学術研究でウィーン大学と東京大学の小児の人工内耳手術で、初期の問題が次のように明らかとなった。(1)人工内耳は言語の違いによる差は少ない、(2)手術年齢の時期は、3歳以後の症例が大多数であるが、2歳で手術を行った方が、より、良い言語発達をする、(3)術後のリバビリテーションは集中的に徹底的に必要。放置されるだけでは聴能の成長は乏しい。(4)知的レベルが低いと人工内耳の効果も乏しい。(5)人工内耳のテクノロジーの違いは、先発のスペクトラと後発のCISがあるが現在のところ、その違いは明らかではない。 以上、我々の国際共同研究は有意義であった。
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