リーリンは脳の秩序だったニューロンの配置を制御する極めて重要な機能蛋白質である。リーリン分子はin vivo及びin vitroで互いに会合しており、そのリーリン同志の相互作用はリーリンの機能阻害抗体CR-50によって特異的に阻害されることを今回、私たちは初めて証明した。またこのリーリン同志の会合体はその機能阻害抗体CR-50に対するエピトープ部位(以下、CR-50エピトープと呼ぶ)の中のα-ヘリックス領域の静電的相互作用により成り立っていること、さらにリコンビナントのCR-50エピトープ領域の蛋白質フラグメントはα-ヘリックス20%+β-シート40%構造をとり、40分子以上よりなる可溶性のポリマー(homopolymer)を瞬時に形成することも初めて明らかにした。これらの新しい知見は、脳の発生においてリーリンはCR-50エピトープ領域を会した会合体を形成することによってその生理的機能を発揮するというこれまでにはなかった全く新しいリーリン・シグナル伝達機構の新しいモデルを提示するものである。
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