研究概要 |
抗HIV抗体陰性症例から,Proviral-HIV-2陽性症例を発見し,さらに,単核細胞培養によってHIV-2を分離することに成功した.この遺伝子配列結果によると,このHIV-2株は,サブタイプAに属し,新種のサブタイプには属さない.抗体陰性結果となった原因を知るため,このウイルス株を分離する事のできた個体から得た血漿中に,このウイルス株由来の抗原に反応する抗体が存在するかどうか,検討した.まず,抗原検索のために,MOLT4細胞株への感染を促し,この細胞で増殖できるHIV-2を得た.この抗原には,HIV-2抗体陽性血漿3種すべての抗体が結合した.蛍光抗体法とフローサイトメトリーの2つの技法により確認した.こうして得た抗原に,ウイルス分離個体から得た血漿を対応させたが,抗原に結合する抗体は得られなかった.ウイルス量についても検索したが,抗体陽性患者の血漿中のHIV-RNA抗コピー数でさえ,検出感度以下のものが大半であり,ウイルス量によるコントラストは得られなかった. これらの結果は,抗体陰性の…V-2キャリアの存在を示している.HIV-2の複製速度が原因で,抗体陽転につながるだけの抗原量を確保できない事例と推測できる.「抗体陽転までのウィンドゥ期間が,IIIVI1よりも異常に長い」と結論するには,早計であるが,この可能性も含みながら,今後も追跡調査したい,尚,この研究結果は,平成10年度の日本ウィルス学会・日本エイズ学会で報告し,また,現在,International J of STD and AIDSに,revisd paperを提出したところであり,近々に,in pressの見込みである.
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