研究課題/領域番号 |
10044255
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
小辻 文和 福井医科大学, 医学部, 教授 (50153573)
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研究分担者 |
吉田 好雄 福井医科大学, 医学部, 助手 (60220688)
田嶋 公久 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (60303377)
細川 久美子 福井医科大学, 医学部, 講師 (60199495)
米倉 義晴 福井医科大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (60135572)
佐々木 博正 福井医科大学, 医学部, 助手 (20225890)
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キーワード | 顆粒膜細胞 / 分化調節機構 / プロゲステロン(P4) / アポトーシス / 腫瘍化機構 / シスプラチン(CDDP) / 上皮性卵巣癌細胞(hOSE) / IAPs |
研究概要 |
1.顆粒膜細胞におけるステロイド産生とアポトーシスの相互作用(ワイツマン研究所との共同研究) (1)遺伝子導入により樹立したヒト顆粒膜細胞株HO-23のプロゲステロン(P4)産生はアポトーシス初期には衰えず、ステロイド産生転写調節因子のAd4BP/SF-1、コレステロ-ル輸送蛋白のStAR、P450sccステロイド代謝酵素、の発現はこの時期不変であることを明らかにした。電子顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡で形態的に検討し、細胞骨格が再編成されミトコンドリアを含む細胞内小器官が核周囲に集まりP4産生の効率が高まることがその理由と推察された。(2)cAMPによるP4産生刺激はアポトーシスを促進すること、この傾向は後にSV40DNAを省いて樹立した顆粒膜細胞株HRP53-10で一層顕著であることが判明した。 2.顆粒膜細胞におけるテオフィリンとシスプラチン(CDDP)のアポトーシス誘導効果(ワイツマン研究所との共同研究)上記知見にもとづき、新たな卵巣癌化学療法として、細胞内cAMP濃度を高めるテオフィリンとCDDPとの併用療法に着目した。喘息治療で用いられる濃度のテオフィリンはCDDPの細胞死導入効果を3-5倍高めることを、in vitro実験で明らかにした。今後このメカニズムについて調べ、さらにin vivoモデルでの効果を検討する。 3.CDDPによる上皮性卵巣癌細胞(hOSE)の細胞死のメカニズム(オタワ大学との共同研究) CDDP感受性hOSEにおいてCDDPによるアポトーシス誘導の際に重要なのはIAPsの発現抑制である。今年度は(1)IAPの発現の有無によりCDDP感受性が修飾されること、(2)IAPファミリーのメンバーであるXIAPの抑制によりアポトーシス機構の中心的なプロテアーゼであるCaspaseが活性化され、その結果下流では基質分解が促進され、上流ではシグナル伝達経路、MDM2の分解を介したp53依存性アポトーシス経路が活性化されること、を見いだした。今後これらin vitroの知見をin vivoモデルで検討する予定である。
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