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1998 年度 実績報告書

神経精神疾患におけるNMDAおよびシグマ受容体の役割

研究課題

研究課題/領域番号 10044260
研究種目

国際学術研究

応募区分共同研究
研究機関名古屋大学

研究代表者

鍋島 俊隆  名古屋大学, 医学部, 教授 (70076751)

研究分担者 JEANーMARC Ka  国立保健医学研究所, CNRS研究部長
ISABELLE Cha  国立保健医学研究所, 研究員
TANGUI Mauri  国立保健医学研究所, 研究員
ALAIN Privat  国立保健医学研究所, 国立化学高等学院, 研究部長
平松 正行  名城大学, 薬学部, 助手 (10189863)
キーワードシグマ受容体 / ニューロステロイド / ストレス疾患モデル / 学習・記憶 / カッパーオビオイド受容体
研究概要

1. 恐怖条件付けストレス反応における内因性ニューロステロイドの役割
我々はこれまでにシグマ受容体に親和性を有するニューロステロイドのdehydroepiandrosterone sulfate(DHEAS)が恐怖条件付けストレス反応を緩解することを報告している.そこで,内因性のニューロステロイドが恐怖条件付けストレス(CFS)反応にどのような役割を果たしているかを調べた.CFS反応を呈したマウスの血清中DHEAS含量は、非ストレス群と比較して有意に減少し、CFS反応の発現に内因性DHEASレベルの減少が関与している可能性が示唆された。また、非妊娠雌性マウスおいて、DHEASは雄性マウスの場合と同様にCFS反応を緩解したが、妊娠マウスにおいてはその緩解作用は認められなかった。非妊娠時と比較して妊娠時の血漿中DHEASの含量は減少しており、逆に、血漿中progesteroneの含量は増加していることが報告されている。さらに、我々は、DHEASによるCFS反応の緩解作用がprogesteroneにより拮抗されることを報告している。従ってこれらの報告から、妊娠マウスの脳内ではおそらくDHEAS含量が減少しており、逆にDHEASの作用を抑制するprogesteroneの含量が増加しているため、DHEASの緩解作用が見られなくなったものと考えられる。一方、fluorocitrateにより脳内グリア細胞を破壊し、ニューロステロイドの産生を阻害したマウスにおいて、CFS反応に対するDHEASの作用を検討したところ、DHEASの緩解作用は消失した。これはおそらく、fluorocitrateによりグリア細胞を破壊するとニューロステロイド、すなわちDHEASの産土および含量が減少したため、DHEASの緩解作用が消失したものと考えられる。以上の結果より、CFS反応の発現あるいは緩解に脳内DHEASレベルの変化が深く関わっていることが示唆された。
2. 実験的健忘に対するカッパーオピオイド受容体およびシグマ受容体の役割
マウスに一酸化炭素を負荷すると自発的交替行動の障害が認められ、この障害はカッパーオピオイド受容体作動薬のdynorphin A(1-13)を投与することにより改善された.このdynorphin A(1-13)の改善作用は、シグマ受容体拮抗薬のNE-100の0.5mg/kgを併用投与することにより増強する傾向を示したが,1.0mg/kgの併用投与により拮抗される傾向を示した.また、マウスにムスカリン受容体拮抗薬のスコポラミンを投与すると自発的交替行動の障害が認められ、この障害はdynorphin A(1-13)を投与することにより一酸化炭素負荷による障害の場合と同様に改善された.しかし、このdynorphin A(1-13)の改善作用は、NE-100の併用投与により影響されなかった。以上の結果より、一酸化炭素負荷誘発健忘に対するdynorphin A(1-13)の改善作用にシグマ受容体が調節的に関与している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Masayuki Hiramatsu,et.al.: "Effects of U-50,488H on scopolamine-,mecamylamine-and dizocilpine-induced learning and memory impairment in rats." J.Pharmacol.Exp.Ther.284/3. 858-867 (1998)

  • [文献書誌] Masayuki Hiramatsu,et.al.: "Reversion of muscarinic autoreceptor agonist-induced acetylcholine decrease and learning impairment by dynorphin A(1-13),an endogenous kappa-opioid receptor agonist." Brit.J.Pharmacol.123. 920-926 (1998)

  • [文献書誌] Masayuki Hiramatsu,et.al.: "Roles of kappa-opioid receptor agonists in learning and memory impairment in animal models." Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.20/7. 595-599 (1998)

  • [文献書誌] Yukihiro Noda,et.al.: "Neuronal mechanisms of phencyclidine-induced place aversioon and preference in the conditioned place preference task." Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.20. 607-611 (1998)

  • [文献書誌] Hiroyuki Kamei,et.al.: "Effects of σ receptor ligands on conditioned fear stress." Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.20. 613-618 (1998)

  • [文献書誌] 鍋島 俊隆: "Conditioned fear stressにおけるneurosteroidsの役割" 平成10年度生理学研究所研究会(1)「情動・意欲をいかにとらえるか」. (1998)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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