研究概要 |
1.モルモット膵から単離した小葉間膵管(径100μm)を用い,分泌液の量(数n1/時間)とpH(HCO_3^-濃度)を画像解析により測定した。Na^+-HCO_3^-共輸送体が血管側から導管細胞内へのHCO_3^-の取り込みを、HCO_3^-コンダクタンスが膵管内へのHCO_3^-分泌を担うことを示した。管腔内微量灌流法を確立し、導管細胞におけるプリン受容体の局在と機能を検討し、細胞外ヌクレオチドがHCO_3^-分泌を調節していること示した。単離血管灌流膵と単離小葉間膵管を用い、パゾプレッシンが導管細胞のV1リセプターを介して水分泌を抑制することを示した。 2.水の輸送ルートについては,最近注目されているアクアポリンの分子生物学的研究も軌道にのった。ラットの肝臓から新しいアクアポリンをクロ一ニングした。 3.生体レベル(in vivo)におけるイオン輸送の調節の研究も併行して進めている。ラットの空腸ループの腔内にグアニリンを投与すると耐熱性エンテロトキシンと同様に管腔内へ水が輸送されることを明らかにした。グアニリンを静脈内投与すると利尿作用、十二指腸の陰窩の杯細胞からの粘液分泌、小腸粘膜下組織の浮腫を引き起こした。 4.胃瘻,十二指腸瘻を作成したピーグル犬の膵動脈に血流プローべを埋め込み,意識下に,膵血流と膵液分泌の変化を同時に測定することに成功した。 5.アルコール性および特発性慢性膵炎患者におけるCFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)遺伝子異常の検索を闘始した。 6.ラツト単離膵腺房細胞を用いて、細胞質内在型のphospholipase A2(PLA2)が膵腺房細胞におけるCa^<2+>オシレーションおよびアミラーゼ分泌に関与していることを示した。
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