研究概要 |
研究代表者の中山は、当該研究期間中に4回オックスフォード大学に滞在し、Alison Brading教授、Joseph Clark Lorraine Smith,及び梶岡俊一博士と共同で、Mgイオンの単離平滑筋細胞の膜電流に関する作用を調べた。この電気生理学的研究で1編の論文を発表した。また、中山は滞在中に、心筋細胞内Mgイオン濃度変化への交感・副交感神経作動薬の影響をまとめた論文に関して、Smith博士から多くの助言を得た。この論文もすでに出版されている。 一方、日本側では、松原達昭講師、天野哲也助手、野村秀樹医師とともに中山は、心臓・血管の細胞内Mg調節機構へのホルモン作用を、核磁気共鳴を用いて調べた。この研究では特に、心筋梗塞の重症度と密接に関与すると考えられる、カテコールアミンによって引き起こされる心筋細胞内Mgイオン濃度の低下を、インシュリンによって抑制できることを、新知見として得た。また最近、頸動脈平滑筋の細胞内Mg濃度測定に成功した。 1999年中山は、国内の2つの学会と米国で開かれたGordon Research Conferenceに招待された。ここで、天野助手と渡辺純二医師とともに、心筋・平滑筋における細胞内Mg濃度調節機構の重要性について講演を行った。 最後に、1998年に日本で「英国祭98」が開催された。ブリティシュカウンシル(東京)と英国大使館が中山の名を、この国際共同研究名簿から見つけ、科学レクチャーシリーズの主催を要請した。これに応え、中山は英国からJoseph Clark, Peter Flatman(エジンバラ大学)とThomas Cunnane(オックスフォード大学)を招き、英国祭98公式イベントとして「Festival UK98 Lecture Series B : Biology and Medicine」を、金沢、岐阜、名古屋、東京で開催した。
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