研究課題/領域番号 |
10044264
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
臼倉 治郎 名古屋大学, 医学部, 教授 (30143415)
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研究分担者 |
西沢 祐治 名古屋大学, 医学部, 助手 (80252229)
若林 隆 名古屋大学, 医学部, 教授 (00079998)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 電子顕微鏡 / エネルギーフィルタ / Ca / PDE / シナプスリボン / 光受容 / cGMP / シナプス |
研究概要 |
本研究は新しく開発したエネルギーフィルタ型電子顕微鏡を使用し、蛋白質分子複合体の構造解析を目的としていた。しかし、エネルギーフィルタにより特有元素のスペクトルから像を結像させるには多量の電子を必要とし、氷包埋した試料でも相当な照射損傷が起こることがわかった。したがって、更なる方法論の改良が必要である。昨年度は国外の研究者の協力の元に単離精製したcGMP分解酵素(PDE)の活性化、不活性化に伴う分子構造変化を低角度回転蒸着法で解析した。この場合でもでエネルギーフィルタ型電子顕微鏡は弾性散乱電子だけで結像させることができるので極めて鮮明な像が得られたことはすでに昨年度の報告で明らかなことである。本年度は視細胞シナプスブ部におけるCaの分布について調べたので報告する。エネルギーフィルタ型電子顕微鏡では非弾性散乱電子の損失エネルギースペクトルの任意の位置で画像を形成することが出来る。そこで特定元素と相互作用し一定のエネルギーを失った電子スペクトル(コアロス電子)を用いて画像を形成することにより、これまでの電子線励起された特性X線の検出による微小分析(EDX)と較べ、より高い位置的分解能と比較定量性を持っている。 視細胞シナプス部には活性部位にシナプスベシクルを繋ぎ止めているシナプスリボンと呼ばれる構造がある。その空間的配置、構造からシナプス伝達において重要な役割を果たしていると考えられてきたが、その実際の機能は不明であった。我々は今回このシナプスリボンにカベオリンが存在すること及び驚くことにCaが存在することを明らかにした。すなわち、シナプスリボンは活性部位のCa濃度を調節することによりトランスミッター放出を制御していると思われる。このことは、視細胞シナプスにはCa濃度依存的に解離するシナプシン1が存在せず、シナプス小胞はリボンのところでのみ繋ぎ止められているという事実ともよく一致している。
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