研究課題/領域番号 |
10044266
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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研究分担者 |
BOYETT Mark リーズ大学, 生理学, 教授
高岸 芳子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50024659)
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (70262912)
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キーワード | 洞房結節 / イオンチャネル / 活動電位 / ギャップ結合 / 迷走神経 / 電気生理学 / 免疫組織化学 / コンピュータシミュレーション |
研究概要 |
1. 洞房結節における細胞膜イオンチャネル発現の結節内部位差:ウサギ洞房結節の細胞内電位マッピング実験から、ペースメーカー中心では辺縁部の細胞に比べ、活動電位持続時間(APD)が長いことが判明した。これは、洞房結節の正常自動能が心房筋からのリエントリー性興奮により乱されることを防ぐ重要な機構と考えられる。選択的イオン電流阻害剤の効果や単離細胞を用いた膜電流解析から、4-aminoryridine感受性持続性電流および活性化の速い遅延整流K電流(I_<Kr>)の電流密度が、結節中心の細胞で小さいことが明らかになり、APDの結節内部位差に寄与することが明らかになった。免疫組織化学および分子生物学による検討では、4-AP感受性KチャネルKv1.5蛋白がモルモット心房筋および洞房結節細胞に発現しており、結節中心部ではその細胞膜発現様式が心房筋とは異なり、発現量も少ないことが明らかになった。 2. 洞房結節ペースメーカー中心から心房筋への興奮伝導:ウサギ洞房結節の免疫組織化学では、結節中心の細胞ではギャップ結合蛋白Cx45とCx40が発現しており、心房筋への興奮伝導に関わる分界稜側の辺縁部細胞にはCx43とCx45が共存することが判明した。また、洞房結節の心房中隔側にはL型Caチャネルの発現が著しく少ない細胞領域が存在し、心房中隔側への興奮伝導ブロックに関与すると考えられる。 3. 迷走神経刺激(VS)による洞房結節ペースメーカー中心の移動:ウサギ洞房結節表面灌流標本から多チャンネル細胞外電位記録を行いVSを加えると、自発興奮間隔が延長するとともに、ペースメーカー中心が分界稜に沿って結節内を複雑に移動した。このペースメーカー移動は洞房結節細胞特性の結節内部位差を反映する現象と考えられる。今後、活動電位コンピュータシミュレーションを用いてその詳細な機構を検討する予定である。
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