研究課題/領域番号 |
10044268
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲葉 カヨ 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00115792)
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研究分担者 |
SHORTMAN Ken ウォルター, エリザホール医学研究所・免疫部門, 部長
STEINMAN Ral ロックフェラー大学, 細胞生理免疫学部門, 教授
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キーワード | 樹状細胞 / 抗原提示 / 抗原プロセッシング / MHCクラスII分子 / クロスプライミング / 細胞分化 / 食作用能 |
研究概要 |
生体内の非リンパ系組織・器官に分布する樹状細胞はT細胞活性化機能が低く、比較的未熟であることが知られている。しかし、それらの細胞は食作用活性が高く粒子状抗原をはじめ細菌等に対する貪食作用を有し、しかもそのプロセッシングを行うことも報告されている。そこで、本年度の研究ではin vitroにおいて骨髄細胞から誘導した樹状細胞ならびに生体内での樹状細胞集団についてそれらの食作用能と抗原提示能を検討した。 1. 骨髄由来の未熟な樹状細胞は、アポトーシスあるいはネクローシスによる死細胞を貪食し、死細胞由来の抗原ペプチドをMHC class II分子に結合して細胞表面へと輸送し、特異的T細胞を活性化できることが示された。この抗原プロセッシングはNH_4Cl等により完全に阻害されることから、エンドゾームを経由することが明らかにされた。また、皮下に異系樹状細胞を投与した場合、所属リンパ節において移入樹状細胞由来の抗原が提示されることから、生体内樹状細胞がクロスプライミング作用をもつことも明かである。 2. 皮下に標識粒子を投与すると24時間以降に所属リンパ節T細胞領域に粒子の分布が認められ、その後72時間まで粒子を取り込んだ細胞数が増加することが示され、粒子を取り込んでいる細胞の性状を調べたところ、樹状細胞であることが明らかになった。同様の結果は、粒子を静脈に投与した場合の脾臓T細胞領域でも観察された。また、肝臓では多数の粒子を捕食した肝実質部のクッパー細胞以外に少数の粒子を取り込んだ細胞が血管周辺に認められた後、その減少と共に所属リンパ節に粒子の輸送が確認され、しかもこれらはBrdU陽性であったことから、骨髄で増殖分化した比較的未熟な細胞が組織内で粒子を捕食した後、所属リンパ節に移動したものと考えられる。
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