研究課題/領域番号 |
10044271
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩田 浩平 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80109529)
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研究分担者 |
畑山 巧 京都薬科大学, 教授 (10094484)
三浦 岳 京都大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員
成瀬 一郎 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20113326)
李 忠連 大阪医科大学, 講師 (80319532)
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キーワード | 熱ショック / 胎児脳 / ニューロン / 発生異常 / 脊柱 / トランスフォーメーション / Hox遺伝子 |
研究概要 |
1)大脳皮質を構成するニューロンの発生、遊走、分化に対する熱ショックの影響を調べるため、胎児脳でニューロンの発生が活発な時期に当たる妊娠13日のマウス(膣栓日=0日)に43℃の高温を15分間負荷し、その後経時的にBrdU免疫組織化学法によって細胞動態を調べるとともに、TUNEL法によってアポトーシス細胞を同定し、誘発細胞死と皮質構築異常との関連を解析した。その結果、72時間後における胎児の脳重量が有意に低下した。また、24時間後におけるマトリックス細胞層の細胞増殖が有意に抑制され、皮質原基に向かうニューロンの遊走が72時間にわたって抑制された。更に、高温処理群の胎児の脳においてアポトーシスが増加した。これらの結果から、ニューロンの増殖と遊走が活発な時期に一過性の高温ストレスが負荷されると、ニューロン前駆細胞の増殖と遊走が障害され、細胞死が増えることによって、脳の発達障害が起きると考えられた。 2)次に末梢神経の分化に及ぼす熱ショックの影響を調べるため、妊娠11〜13日のマウスに1日1回、43℃10分間の高温を負荷し、その後経時的に胎児を取り出してその顔面神経核の発生を組織学的に調べた。その結果、高温を負荷された胎児においては、顔面神経核を形成するニューロンの遊走を遅延させ、また神経核の細胞数を減少させることが明らかになった。 3)妊娠マウスに高温を負荷すると、その児に脊柱の異常(トランスフォーメーション)が誘発される。様々な時期に高温を負荷して異常の型を解析したところ、高温負荷を受けた時期に分化しつつあった高さの椎骨の分化がシフトしてトランスフォーメーション奇形が生じることが明らかになった。また。それに対応してHox遺伝子の発現の高さをも同様にシフトすることが確認された。 4)妊娠初期に高温を経験した母親から流産ヒト胚子の脳を組織学的に調べ、神経細胞の異常増殖、ロゼット形成、皮質構築異常などを認めた。
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