研究課題/領域番号 |
10044271
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
|
研究分担者 |
畑山 巧 京都薬科大学, 教授 (10094484)
三浦 岳 京都大学, 医学研究科, 特別研究員
成瀬 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20113326)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
キーワード | 物理的要因 / 高温 / 発生異常 / 胚子 / Hox遺伝子 / 中枢神経系 / 神経管形成 / 葉酸 |
研究概要 |
発育途上のヒトや実験動物の胚子が放射線や高温に曝露されると種々な発生異常が誘発され、胚子の中枢神経系や中軸骨格が最も高い感受性を示す。本研究においては、ヒト胚子の正常及び異常神経管閉鎖過程を詳細に調べると共に、マウスを用いた実験的研究を行い次記の結果を得た。 1.ヒト胚子においては、従来神経管閉鎖の開始部位とされていた頚部の高さの他に、中脳-菱脳移行部、神経溝前端部からも閉鎖が始まることが明らかになった。また、第一の閉鎖が尾部下端まで伸びて、そこで尾神経孔が閉鎖することがわかった。これらの所見によって、多くの神経管奇形(無脳症、二分脊椎)の病理発生が説明できた。 2.妊娠13〜14日の妊娠マウスに42〜43℃の高温を負荷すると、神経前駆細胞の増殖と遊走が有意に抑制され、大脳原基に細胞死が増加した。 3.妊娠14〜16日の妊娠マウスに高温を負荷すると、顔面神経核の形成が有意に遅延した。 4.妊娠7〜9日の妊娠マウスに高温を負荷すると、胚子の体節におけるHox遺伝子の発現が変化し、それに対応した脊柱の分化異常(トランスフォーメーション)が誘発された。 5.妊娠マウスに妊娠初期から葉酸(3mg/kg)を毎日投与し、妊娠8日に高温を負荷したところ、高温の催奇形性が有意に抑制された。 以上の結果から、妊娠初期の高体温が遺伝子の発現、細胞の増殖・分化・遊走を障害することによって中枢神経系などの発生異常を誘発すること、また、その催奇形作用が葉酸によって抑制されることが明らかになった。
|