研究課題/領域番号 |
10044272
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
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研究分担者 |
GAGE Fred H. Salk研究所, 遺伝学研究室, 教授
竹市 雅俊 京都大学, 理学研究科, 教授 (00025454)
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助手 (80252443)
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キーワード | 海馬由来神経系幹細胞 / 移植細胞 / 網膜 / ラット / 分化 / グリア / 神経細胞 / マーカー |
研究概要 |
Gageが確立した海馬由来神経系幹細胞を、生後5日以内の幼若ラット網膜に移植すると、移植細胞は多数網膜内に侵入、分化した。移植細胞の形態は、視細胞、水平細胞、双極細胞アマクリン細胞に酷似し、しかもそれぞれの細胞に適した層に生着していた。神経系幹細胞は硝子体内で網膜表面にのみ付着し、侵入したが、このような現象はコントロールとして使用した線維芽細胞や死滅させた幹細胞などではおこらなかった。 成体ラット網膜への移植では、正常網膜では移植幹細胞の網膜内への侵入、生着を認めなかったが、切創を加えた障害網膜では、移植幹細胞の網膜への侵入、生着を認めた。移植細胞は切創をはるかにこえた範囲に生着し、それはGFAP陽性の活性化ミューラー細胞が分布する範囲に限局していた。網膜内に侵入した移植細胞は、突起をのばしMap2やMap5などの神経細胞のマーカーを発現するもの、グリアのマーカーであるGFAPを発現するものが移植後1ヶ月の時点でそれぞれ約15%あった。Map2、Map5、GFAPは移植後1、2、4週間で徐々に発現細胞が増加し、幹細胞のマーカーであるnestinは逆に発現細胞が減少していた。以上の結果は、成体でも障害網膜では移植細胞の移動、分化を誘導する因子が発現し、それら因子に反応して、神経系幹細胞が網膜に侵入し、網膜内で神経に分化することが可能であることを示す。成体網膜内で神経系幹細胞から神経細胞が得られることは臨床において、障害網膜の修復、再生への応用の可能性があると考えられる。
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