研究課題
国際学術研究
TSKマウスの胎仔から得られた初代線維芽細胞よりmRNAを抽出し、RT-PCR法を用いて、変異型fibrillin 1 cDNAを単離することに成功した。得られたcDNAは、11900塩基長あり、ノザンブロット法による予測長から判断してほぼ全長領域を単離したと考えられた。変異型fibrillin 1は、遺伝子内重複をもつ事が示されており、我々による全長塩基配列のシークエンス解析の結果、3857アミノ酸から成るたんぱく質であると予想された。次に、この変異型重複たんぱく質が、in vitroにおいて作成でき得るかを調べた。まず、変異型fibrillin 1 cDNAの3末端にFLAGペプチドタッグを付加したものを、SRαプロモーターを有する発現ベクターに組み込んだ。これを用いてCOS7細胞への強制発現を試みたところ、細胞質内において変異型fibrillin 1を抗FLAG抗体を用いて検出した。同様の結果をfibrillin 1に対する抗血清を用いても得ている。また、同実験から、この変異型fibrillin 1が分泌していることを培養液を用いたウエスタンブロット法により確認している。さらに、我々は、変異型fibrillin 1を恒常的に発現する細胞株の樹立を試みたが、成功しなかった。人自己免疫疾患である進行性全身性強皮症のモデルマウス、TSKマウスにおける変異型fibrillin 1の役割を調べるため、変異型fibrillin 1トランスジェニックマウスを作成することを試みた。変異型fibrillin 1 cDNAをchicken βプロモーターベクターに組み込み、そのベクターを用いて、受精卵注入後、トランスジェニックマウスの作成を行った。ゲノミックサザン法による解析から、4匹の変異型fibrillin 1トランスジェニックマウスの作成に成功し、現在、トランスジーンの発現を確認するため、繁殖させているところである。
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